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2008-02-21★イタリアン&カクテル@さくら

Marc 22:37:20

ずいぶん永い間、このハックル☆BARのコンテンツの書き込みをサボっていたので、先日(2008年2月17日)のことを書きます。DANの写真がはいるハズだったんだけど、Deleteしちゃったんだって。しょーがねーな>DAN
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「さくらイタリアン・パーティ」。さくちゃん人脈で、僕らの秘密基地(さくちゃん別邸)「さくら」で、新宿3丁目のイタリアン・柏木さんの作る料理と、銀座7丁目のBar キューのプロのバーテンダーさんである羽角さんのカクテル三昧という趣向。

おまけにプロの落語家(林家たけ平さん)まで参加して、非常に贅沢な時間を過ごさせてもらった。
ふつうねーぞ、こんなコラボは(爆)。

牛頬肉のシチュー、タコの野菜一杯パスタ、鯛の料理も美味しかった。シャンパンからワインと流れ、満を持して登場するカクテルはどれも素晴しかったけど、僕はイチゴのカクテルが一番気に入ったな。ああ、マティーニも素晴しかったね。羽角さんの愛娘・あいちゃん(4歳)も最高に可愛かった。

いつものHPB状態になったあたりから記憶が曖昧で、午前中泳いだ影響もあって、途中1時間位(もっとか?)寝てしまったけど、本当、夢見心地のひと時でした。サンキュっす>さくちゃん。11時過ぎに横浜の自宅に帰宅。期待していた以上の素晴しさ、気持ちいい休日でした。

20080217_さくら亭 イタリアン&カクテル 


2007-02-10★BAR SAND&GEM その5

Joji 10:05:28

「さあ、みなさん目を閉じて」とマスター。僕も静かに目を閉じた。真っ暗だった目の前に、大きな建物が現れた。と同時にヘッドフォンからは、ロマンチックなストリングスの調べ。
「この歌はタイガースの<銀河のロマンス>だ」。
<銀河に浮かべた白い小船、あなたと尋ねた夢のふるさと>ジュリーの若々しい声。小学6年生の時にヒットした歌。

しかし、この建物は見たことがないけれどとても懐かしい。「ん!ここは小学校だ。子供たちがたくさんいる」。
自分が通った学校ではないけれど、なぜか階段の位置や体育館やトイレの配置まですべて頭に入っている。

「そうか!僕の推測が正しければ、ここはジョニーさんが通った学校だ」。

頭の中の映像は、どんどん階段を上り一つの教室に入って行った。席に着くと授業が始まった。でも、この教室の机の配置は少し変だ。ふつう机は、黒板に向かって同じ方向に並べらtれているのに、ここでは教室の真ん中がスクエアーに空けられていて、その周りを囲むように机が並べられている。そして教師は、そのスクエアーの中で授業をしている。

「そうか!こうするとクラスメートの顔を見ながら授業が受けられるって訳だ」。

みんなの顔を見ながらキョロキョロしていると、ななめ前方の女の子とやたら目が合うことに気付いた。頭の良さそうな子で、肩まで伸びた髪の一部を後ろにまとめ髪止めしてある。僕の好きな髪形だ。でも何故なんだろう、知らない子なのにとてもときめく、せつない、しあわせ、こんな感情が混ざり合う。
「もしかして、ぼくはこの子が好きなの?」。胸がキュンキュンする。

一転映像は屋外に移った。ここは校庭だ。でもちょっと雰囲気が違う。全校生徒が集まっていて頭上には万国旗。周りには大人たちがいっぱい。「そうかこれは運動会なんだ」。
気付くと僕は校庭の真ん中で、男子五人、女子五人づつ横一列に並ばされ向かい合っている。そして僕は左端から三番目。すると端から順番に男女がスキップをしながら前方にしゃしゃり出ていき、その場で腕を組みくるくる回り始めた。数回まわると、お互い元に位置に戻っていく。どうやらこれは、運動会の出し物のフォークダンスのようだ。そして今度は端から二番目の男女の番だ。ということは次は僕、というか僕らの番だ。

前を見ると、教室でやたらと目が合ったあの子が立っている。なんだかとてもワクワク、ドキドキ。
二番目の男女が元の位置に戻った。僕はスキップしながら中央に出て行き、その子と腕を組みクルクル回る。半そでの体操着の彼女の腕の感触がとても心地よい。そして石鹸のいい香りに包まれる。

「このままずうっと回り続けたい、はなれたくない、せつない、でもあと一回転で戻らなければ」。

<シルビーマイラブ、シャラララ  シルビーマイラブ、シャラララ>
歌がコーダーに入ると、また映像はしらっ茶け目の前が真っ暗になった。静かに目を開ける。なぜか胸の真ん中がポット暖かい。
他の客をみわたすとみな、小学生のような顔をしている。するとジョニーさんの左に座っていた男性が「この小学校の校庭は、コンクリートなんですね。僕は田舎の学校だったから校庭は土でした。都会の子供たちはこんな校庭で、サッカーや運動会までもやるんですねー。ちょっとかわいそう」と眉をしかめながら言った。
今度は紅一点女性が、手にしたハンカチをテーブルに置き、すこしうつむきながら静かにこう言った。
「ジョニーさん、これってあなたの初恋だったの?」。

ぼくはジョニーさんの顔に目を移した。
まだ目を閉じたままジョニーさんは軽くうなづいた。ただ僕はこのとき、かれの頬に涙が走った跡をみつけた。僕にも経験があるが、人はあまりにも懐かしい昔を目の当たりにすると、涙がでてくる。きっとジョニーさんも。

ここへきてぼくはやっと、目の前のエクストラ・ドライマティーニに口をつける余裕がでてきた。ポルトガル産のオリーブをかじりながら頭を整理する。
店内に流れるピアノの調べは、ソニークラークからビルエバンスに変わっていた。ワイングラスを磨いていたマスターを目で捕まえ、僕はこう切り出した。

「ねえマスター、このヘッドフォンバーというのは、マスターに指名された人が頭の中に想い描く思い出が、その当時その思い出といっしょにインプットされた音楽とともに映像として蘇る。と同時に当時の感情までも。そしてヘッドフォンをしている全員が、そのすべてを共有できるって訳ですね。
ということは、楽しい思い出ならよいが、もし何かの拍子に悲しい、つらい思い出が蘇ってしまったらその瞬間から・・・・」。
「そのとおりです、marcさん」といきなりマスターの声が耳元で響いた。

落書き君さんが書いてくれた文章を読んだら、いきなり想像力を刺激されこんな物語を作ってしまいました。といっても、ほとんど自分の体験談ですね(爆)。
このあといろいろ続けたという気持ちもあったりして。ジョニーさんと紅一点女性の関係も気になるし。とりあえずこれで一旦終了します。またなにか浮かんだら書こうと思います。


2007-02-07★BAR SAND&GEM その4

Joji 13:00:26

僕はなぜマスターが「悲しい思い出だけは」と言ったのかなんて全然気にせず、思いをめぐらせた。

すぐに浮かんだのは、高校二年生の夏休みに短期語学留学で行った、イギリスはケンブリッジで過ごした数週間だった・・・・。

するとヘッドフォンからは、カーペンターズの「YESTER
DAY ONECEMORE」が流れてきた。カレンの艶やかなそして伸びのある歌声、何度もオーバーダビングされた分厚いコーラス。
「When I was young I 'd listened to the radio.Waitin'
for my favorite songs」

「そういえば当時、ケンブリッジのカフェテリアなどで盛んに流れていたっけ」と思い出した瞬間、目の前にホームステイでお世話になったお宅の玄関が現れた。すると次々と映像がフラッシュバックする。
北半球の夏はなかなか陽が暮れず、それに甘えて僕たちは夕食後、家の前の広場にみなで集まり野球をしたこと。近所に住む子供たちと童心に返り、走り回ったこと。二階建ての赤いバス。授業をサボって行ったロンドンに着くまでの、コンパートメント型列車内での大騒ぎ。
大好きだったビートルズのレコードジャケットで有名な、アビーロードに行ったこと。高校生のくせにロンドンの高級ステーキハウスに友達と入り、数千円もするステーキを食べたこと。

次々と映像が、頭の中に浮かんでくる。目に映るすべてが新鮮で、毎日毎日ワクワクしながら過ごした日々。
「楽しい!じつに楽しい!」

「Every sha-la-la-la every wo-wo-wo Still shine」
曲が終わりに近づき、フェードアウトしていく。それに従い、頭の中の映像は白っ茶けはじめ、曲が終わると同時に目の前が真っ暗になった。

「marcさん、いかがでしたか」とマスター。僕はまだ事情がつかめずボーっとしたまま。目の前のエクストラ・ドライマティーニに、口をつける余裕さえない。
ゆっくり周りを見渡すと、他の客たちはみなまるで高校生のように少し幼い顔をし、なぜか微笑んでいる。

すると紅一点女性が口火を切った。「私も大好きでした、YESTERDAY ONECEMORE。よくピアノで弾いて、歌いましたもん。」
今度はヘッドフォンバーが始まる直前まで、小説を読んでいた男性が「私は海外旅行の経験はないんですが、北半球の夏というのは、あんな時間まで明るいんですね、びっくりしました。それと、野球をなさっていた広場に、とてもかわいらしい女の子がいましたね。」と続けた。
「えっ!はああー」と僕。「たぶん近所の小学生、ジョディーのことだ。でも、みなはじめて会った人たちなのに、なぜぼくが今、思い巡らせたことがわかるんだろう。ん!もしかしてこのヘッドフォンバーというのは・・・」と閃いたとたん、その思いをさえぎるようにマスターはジョニーさんの前に立ち、僕に言ったのと同じせりふを言った。
「ジョニーさん、あなたが今日まで生きてきて楽しかったこと、うれしかったこと、今パッと浮かんだ思い出に思いを巡らせてください。でも決して、悲しい思い出はだけはいけませんよ。」


さあ!つぎはジョ二ーさんの番です。いったいどんな思い出なのか。そしてこのヘッドフォンバーというのは何なのか。次回その全容をmarcが解明します。
つづきは明日、乞うご期待を!


2007-02-06★BAR SAND&GEM その3

Joji 21:36:41

ふと目の前を見ると、銅製のクラシックなデザインの灰皿と「エクストラ・ドライマティーニ」、ステアでクラッシュアイス、レモンピールは2条、おつまみはポルトガルのオリーブが4個、いつのまにか置かれている。
さっきとまるで同じ状況。デジャブのデジャブ・・・・・

時計を見ると21:45。上り新幹線の最終は出てしまった。
「いや!まてよ。僕はさっき、マスターに促され今日はここに腰を落ち着けようと決めたんだ。そしてその旨を東京の家族に連絡したんだ。」
今頃になって、記憶が蘇ってきた。

僕の横に座っているセーターの客と二言三言、言葉を交わすとマスターはカウンターの下にしゃがみこみ、なにやらごちゃごちゃとコードがたくさん絡まった黒っぽい物をどさっと、カウンターの上に置いた。その動作に入る直前、マスターの口から「ジョニーさん」という名前が聞こえた。どうやらセーターの男性はこの店ではジョニーさんで通っているようだ。
そしてマスターがカウンターの上に積み上げたのは、なんとヘッドフォンだった。

まず、僕の前にそれを置き、その後一人一人の目の前にヘッドフォンを置いていった。そうしてからマスターはカウンターを出て、僕らの後ろを通り、店の入り口付近の壁のスイッチをカチッと下げた。するとスリガラスの向こうでチカチカしている店のイルミネーションが消えた。
カウンターに戻る途中マスターは、ジョニーさんと僕にヘッドフォンをするよう促した。他の客はすでに装着済みで、何かを待っているようだ。
僕もそのヘッドフォンを手に取った。「これはゼンハイザー製の密閉型で、二万円以上はする代物だ。抜群の装着感で、何時間していても疲れを感じない重さ、そしてデザイン」
そっとかけてみる。すると今まで店内に流れていた、ソニークラークのピアノが耳元で聞こえる。何故なんだろうとキョトンとしていると、マスターが説明してくれた。

「この店の壁の両サイド、天井近くにレコーディングスタジオでよく使用されている、ノイマン社製TLM127という真空管式コンデンサーマイクが埋め込んであるんです。
この2本のマイクがこの店のすべて音を拾っているんです。」とマスターの声がヘッドフォンを通してやさしく響いた。
僕は試しに目の前のカクテルグラスを、薬指の爪で軽く叩いた。すると想像を絶するようなリアルな音に、ビックリしたと同時に、どうやら他の客も驚かせてしまったようだ。みなの視線が一斉にこちらに向けられた。

するとマスターは僕の前に立ち、「それではそろそろ始めましょうか、ヘッドフォンバーを」と言うと、僕とジョニーさん以外はみな静かに眼を閉じた。
「さあ、それではmarcさんから始めましょう。軽く目を閉じてください、ジョニーさんも。
marcさん、今日まであなたが生きてきて楽しかった事、嬉しかった事、たくさんあったかと思いますが、ここで今頭の中にパッと浮かんだ昔のその思い出に思いを巡らせてください。ただしこれだけは絶対に守って下さい。悲しい思い出だけは絶対に思い出さないように。決して!」そう言うとマスターも目を閉じた。

marcはいったいどんな思い出に思いを巡らせたのでしょうか。そしてこの状況でいったい何が起こるのでしょうか。この続きは明後日、ハックルバーで!お楽しみに。


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2007-02-06★BAR SAND&GEM その2

Joji 13:04:26

落書き君さんに刺激されひとつのストーリーが浮かびました。申し訳ありません、このあとを続けさせて下さい。

店を出て10メートルほど進むと、白いものはどんどん細かくそして多くなり、頭を手で払った瞬間、店にカバンを忘れてきたことに気づいた。
振り返ると所々白くなりかけているゆるい坂道を、滑らないように身体を縮めながら歩き店の扉を開けた。

「大事なカバンを忘れてしまって・・・」と言うか言わないうちに「こちらへどうぞ・・・」と彼は、静かに奥から二番目の席を僕にすすめた。
「おひさしぶりですね。」とマスターが静かに言う。

「いや!ちょっと待って。さっき僕はこの店にいて・・・
気づいたら寝てしまって・・・・」言葉にならない。

「marcさん、おかえりなさい、本当にお久しぶりですね。よくこの店を覚えていていただきました。」
数時間前とまるで同じ空間、そしてマスターの言葉。
デジャブのデジャブ。
なんだか魔法にでもかかってしまったかのように僕は呆然とマスターの言葉通りに奥から二番目の席に着いた。
まわりを見渡すとさっきまで僕ひとりだった店には、他に四人の客がすでにいた。その中に女性がひとり、そして僕から左に席をひとつ空けて、とても暖かそうなカシミアのセーターを着た男性客。その向こうに、やはりみなひとつ、ふたつ席を空け座っている。
思い思いのお酒を目の前にし、目を閉じ精神統一しているような客、小説を読んでいる客、紅一点女性はきれいに畳んだハンカチをテーブルに置き、店のろうそくを眺めている。僕の左のセーターの男性は、少し緊張しているようだ。
どうも外見から判断すると、みな僕と同じ年恰好のように見える。



さあ!これからこの店のなかでなにが展開されるのか。このつづきは家に帰ってから書き込みます。ただいま会社で仕事中なので。
乞うご期待!


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2007-01-31★今 すごく会いたいBarのマスターがいる...

danhattori 23:49:10

懐かしいBar と どうしても会いたいBarのマスターがいる。もう15年くらいは会っていないだろう。最初は、青山学院の西門前に店を構えた。Bar [HIP] 。マスターの苗字は、Nagami さん 僕らが御茶ノ水の予備校に通っていたときに友達になった。2年年上のすごく面白い人だった。僕らは社会人になって、ヒョンなことからそのNagamiさんの Barを知った。それからというもの、事或るごとに通って色々な事を話したし、色々なことを教わった。物事に対する考え方。
「そんなに難しくなるなよ.... 世の中 わかんない事はわかんないし.... 無理して分かろうとしなくてもいい....」そんな感じの人生観がトテモ好きだった。
ちょっと辛いことがあるとNagamiさんと話がしたくなった。 そうこうしているうちに、その青山のBarは店を閉めていて、Nagamiさんは原宿に近くや恵比寿の近くにも店を開いているのは知っていたけれど、あまり行き事もなくなって、その内すっかり行けなくなってしまった。もうすぐ僕も50歳、いろいろな事があって、これからもきっとイロイロあるでしょう。そんな時、Nagamiさんに会って、また、いろんな話をしてみたい。
[HIP]の「梅ジソオカカご飯」をまた食べてみたいなぁ....

BGM も Changed Jack Johnson Time like these.....


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2007-01-26★小説 BAR Sand & Gem (その1)

Marc 22:37:10

そのバーが、たまたま所用で24年ぶりに訪れた東北の地方都市のひっそりとした路地裏に、今でもあること自体が、今考えてみれば、奇跡みたいなものだったのだ。

特別の理由もなく、ただ新幹線の出発時間までの時間つぶしで、街を歩いていた僕は、ふと思いつき、その路地に入っていったのだった。何かに不思議な力に引かれるように、誰かに誘われるように。

遠い記憶に肌寒い風。デジャ・ヴィ・・・。いや、確かに以前にココに来たことがある、それも何度もだ。今は静か過ぎるくらい、ひっそりとした路地裏にある、緩やかな坂道を進んだ。ふと後ろを振り返ると、遠くに見える山並みのシルエットがある。仄かな夕陽の残像。西のほうに飛ぶように雲が流れていく。今日を忘れるかのように、一目散に飛んでいく雲。この季節、東北の空は高いんだ。吐く息がいっそう白くなる、そんなことに気づく時間でもある。

デジャ・ヴィ

ああ、あった、Bar {Sand & Gem}

砂と宝石(対照)、砂漠の中の宝石(包含)、哀しみの中の一滴の希望(比喩的な小説の一部として)・・・

見るからに無骨で頑丈なオークの扉。高めの位置の小さな二つの窓から灯りが見える。まだBarに入るには少し早い時間だが・・・開いているようだ。

そのドアを開ける。

間接照明の柔らかい光。肌寒く薄暗い外から中に入ると、ホッとする空間がそこにあった。適度な暖房が心地よい。カウンターの対面にある小さな中庭には、真っ黒なレトリバーの子犬が3匹。昼間遊び疲れたんだろう、重なり合って寝ているみたいだ。

「こんばんわ・・・」と僕。

仙人のような風貌のバーテンダーがカウンターの向こうから目を上げた。

思い出した。そうだ!確かに彼だ。白い無精ひげの、四角い顔。きついことを言うんだけど、いったん仲間となれば、気配りを忘れないオウナー・マスターだ。

忘れていた記憶が甦る。あれから24年経っているんだから、彼ももう60代後半、ということになる。時の流れの速さに驚嘆する.マスターのひげの白い部分は確実に範囲を広げ、僕の髪の面積は確実に狭くなった。ははは、いいんだよ、僕は潔く、かっこよく禿げるんだからさっ。はははははっ。

さて、想い出した。当時からぶっきらぼうで気難し屋のマスターは一見のお客を嫌っていたんだ。バーのクセに酔っ払いは大嫌いで、(修行のたりない、あ、アタマの足りないともいえる)若い客は、マスターの気に入られなければ、即刻退場。二度目はお断り。そんな緊張感のあるオトナのバーとしての「雰囲気」が、厳然とそして毅然としてあったのだ。

一人客の本当のオトナだけが、静かに自分の世界に浸れる場所。1950年代ー60年代のクールなジャズの女性ボーカルが、ごく微かに香るように聴こえる。金曜になると(ただでさえ暗めの)間接照明を消して、カウンターの光と客席のほうはキャンドルだけになる。確かマスターは、そのキャンドルをデンマークから仕入れていると言っていた。何故か磯の香りがするキャンドルだった。
とにかく、当時の「未熟者」だった僕の・・・「修行の場所」だったことはたしかだ。酒の呑み方を一から教えてもらったのもココ。

綺麗に磨き上げられたチェリーの一枚板のカウンターは昔と同じだ。自然な疵がこの24年間の時間の流れを語っている。

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「こちらへどうぞ・・・」と彼は、静かに奥から2番目の席を僕にすすめた。

「おひさしぶりですね。」とマスターが静かに言う。

24年ぶりに、何の連絡もなく、ふらりと来て{おひさしぶり}はないだろ、ふつう。きっとマスターは勘違いしているんだな、って僕は思った。

で、その瞬間、気がついて驚いた。

一見の客はお断り。初めての客はドア・サイド、なじみになると徐々に奥の席に通されるのがこの店のルール。24年前、僕は仕事でその町に1年間の長期出張で住んでいて、週に2-3回は通い詰めた。そして、やっとマスターに気に入られて、徐々に僕の席も奥に座れるようになったのが、この街を離れる直前。それは、自分が「オトナ」の仲間入りを許されたような、誇らしい瞬間で・・・。そうだ!最後の夜は確かに奥から2番目の席だった!

「marcさん、おかえりなさい、本当にお久しぶりですね。よくこの店を覚えていていただきました。」

おおっと、僕の名前を覚えていてくれたんだ。僕はマスターの名前を忘れていたけど、彼の左胸のネームプレートを見て想い出した。チェン(張)さん。

「こちらこそ。その節はお世話になりました。お久しぶりです。お元気でしたか?」

銅製のクラシックなデザインの灰皿は、向かって左の決まった位置に。向かって右のカウンターの微妙な隙間に、「エクストラ・ドライ・マティーニ」(嗚呼!)、ステアでクラッシュアイス、レモン・ピールは2条。おつまみは、ポルトガル(!)のオリーブ4個。・・・何も言わずに出てきた。24年前のあの夜と同じだ。

マスターは静かに言った。
「よかったですね。間に合ったようですね・・・。」
「えっ?何にですか?何に{間に合う}んですか?」と僕。

「今晩、東京に戻られる予定はキャンセルしたほうがいいと思います。差し出がましいとは思いますが、悪いことは言いません、この街に今晩は残ってください。どうせ東京に帰っても、たいした生活じゃないでしょ。あなたは今の生活に満足していないでしょう?」

「えっ?そんなことはないです。いえ、ないと思います。仕事は大切だし、急に帰れなくなれば家族だって心配するでしょうし。第一、久しぶりに訪れた僕に対して、あなたは断定的な言い方をするなんて、失礼じゃないですか!」腹を立てたわけじゃなく、僕はその時本当に「困惑」したのだ。

でも、僕はその後すぐに,携帯電話を取り出し、ウチと仕事場にメールをして、(仕事が片付かず今晩はココに泊まることとする・・・ウソのメール)しまったワケだ。マスターの口元に宿る確信的な、あるいは断定的な微笑みを僕は忘れられない。

今となっては、感謝することこそあれ後悔することはない。「あの日々」は夢と現実の狭間にあるバーチャルな天国を体験することになったのだから。

================(続く) か??

「杜子春」現代版、現代の仙人の話・・・を書いてみたい。


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